4/15 16:01 UP!
晴れ渡った春の空いっぱいに、鐘楼の鐘の音が鳴り響いている。

原田マハさんの「風神雷神」を読み終えた。この小説は俵屋宗達の名画を軸に広がる大冒険のお話で、芸術を愛する者たちの魂が時空を超えて描かれている。
読み始めは入り込むのが難しいかもと思ったが200Pを過ぎた頃からその世界を生きる宗達に引き込まれ最後まで一気に読んでしまった。
語られる情景や、宗達目線で語られる人物の様子がとても細やかで、建物内部の荘厳さや眩さ、緊張感が伝わってくる。この感覚をどうにか共有したいと思うが、この本に込められている要素があまりにも多すぎて何を書いても点になってしまう。だから個人的に好きなポイントを3つ挙げさせてもらおうと思う。
ひとつは時間の重み。宗達が信長に名を受けてローマに旅立つが、片道になんと3年もの月日が掛かる。そもそも無事に着けるか分からず出発と同時に命がないことを覚悟し、船の上で何ヶ月も過ごし、風を待つために何度も季節を待つ。
その長期間に渡る緊張感と無事に辿り着き役目を果たせた時の達成感というのはその時が訪れると同時に心臓が止まっても不思議ではない。宗達は14歳そこらで、初めての異国で、謁見するのはローマ教皇様だ。それだけでも感慨深い。役目を果たした後は日本に伝えるために3年かけて帰るのだ。果てしない。
ふたつめは宗達とカラヴァッジョとの友情だ。詳細はネタバレになるから書けないが、人との付き合いに時間は関係ないんだなと思わされた。どれだけ一緒にいても距離が縮まらないこともあるが、一瞬で色んなものを飛び越えていくこともある。この2人の間に起きたこと、表現とその熱量を是非感じてほしい。
三つめはアートへの慈しみと愛情。ストレートな方が伝わると思うので、ここからは少し引用させてもらう。「長いながい時間の中で、その絵は、ひょっとすると戦禍に巻き込まれたかもしれない。火災や水害に遭ったかもしれない。 破損や略奪の危機にさらされたかもしれない。ある時代には価値を認められずに、捨て去られてしまったかもしれない。
ちょっとしたことでこの世界から永遠に姿を消してしまった可能性は、いつであれあったはず。 いま。目の前にひとつの絵がある。それは、いつの時代にも、その絵を愛し、守り、伝えようとした人がいた証にほかならない。人から人へ、時代から時代へと継承されてきたからこそ、その絵は、いま、自分たちの目のまえにあるのだ。」作中に奇跡とい表現が何度か使われているが、その奇跡に感謝したい。
読み始めは入り込むのが難しいかもと思ったが200Pを過ぎた頃からその世界を生きる宗達に引き込まれ最後まで一気に読んでしまった。
語られる情景や、宗達目線で語られる人物の様子がとても細やかで、建物内部の荘厳さや眩さ、緊張感が伝わってくる。この感覚をどうにか共有したいと思うが、この本に込められている要素があまりにも多すぎて何を書いても点になってしまう。だから個人的に好きなポイントを3つ挙げさせてもらおうと思う。
ひとつは時間の重み。宗達が信長に名を受けてローマに旅立つが、片道になんと3年もの月日が掛かる。そもそも無事に着けるか分からず出発と同時に命がないことを覚悟し、船の上で何ヶ月も過ごし、風を待つために何度も季節を待つ。
その長期間に渡る緊張感と無事に辿り着き役目を果たせた時の達成感というのはその時が訪れると同時に心臓が止まっても不思議ではない。宗達は14歳そこらで、初めての異国で、謁見するのはローマ教皇様だ。それだけでも感慨深い。役目を果たした後は日本に伝えるために3年かけて帰るのだ。果てしない。
ふたつめは宗達とカラヴァッジョとの友情だ。詳細はネタバレになるから書けないが、人との付き合いに時間は関係ないんだなと思わされた。どれだけ一緒にいても距離が縮まらないこともあるが、一瞬で色んなものを飛び越えていくこともある。この2人の間に起きたこと、表現とその熱量を是非感じてほしい。
三つめはアートへの慈しみと愛情。ストレートな方が伝わると思うので、ここからは少し引用させてもらう。「長いながい時間の中で、その絵は、ひょっとすると戦禍に巻き込まれたかもしれない。火災や水害に遭ったかもしれない。 破損や略奪の危機にさらされたかもしれない。ある時代には価値を認められずに、捨て去られてしまったかもしれない。
ちょっとしたことでこの世界から永遠に姿を消してしまった可能性は、いつであれあったはず。 いま。目の前にひとつの絵がある。それは、いつの時代にも、その絵を愛し、守り、伝えようとした人がいた証にほかならない。人から人へ、時代から時代へと継承されてきたからこそ、その絵は、いま、自分たちの目のまえにあるのだ。」作中に奇跡とい表現が何度か使われているが、その奇跡に感謝したい。