3/16 07:25 UP! むかしむかし YUYU(ユユ)(29)
十二月十五日クリスマスが近づき、煌びやかな渋谷の街は、少女が見る夢の中のように、ワクワクとドキドキに包まれていた。あの日憧れたドラマのような街の灯りに映し出された僕は、苛立ちで歯ぎしりを止められずにいる。
売れない芸人をしている僕は、この2時間前までは別人のようにおどけていた。
二時間前の貸切の居酒屋。
親睦会という名の集まりに、盛り上げ役として呼ばれた僕は緊張し、何度深呼吸をしても息が上手に吸えなかった。
「売れるきっかけになるから来なよ」
そんなセリフで芸能界の先輩に誘われ、夢見心地で席に着いた。周りにいるのはCMで見たことのある会社の社長や副社長たち。僕以外の男性は皆、光沢のある高級そうなスーツを着こなしている。しかし僕は、fatのパーカーにジーパン姿。5年前に背伸びをして買ったfatのパーカーは、もう定年退職をしたいと、疲れ顔で訴えかけていた。社長たちが使う、横文字とビジネス用語が理解できずに、相槌も打てずに困っていると、そんな僕を尻目に、駆け出しの女優の女の子たちが
「えーー」
とか
「きゃーー」
と言って場を盛り上げていた。
僕も誰かの記憶に残らないと。そんな焦りから、金持ち達が下品に女性を口説くのを、全力ではやしたてた。隣の社長が言う
「二軒目のカラオケに行くひとー?」
女優の女の子のほとんどが手を上げる。それを見た社長がさらに言う。
「じゃあ水着審査しまーす」
僕はそれを聞いて今しかない、そう思い自分が持っている一番おもしろい声で言った。
「水着審査。いいですねー!!ちなみに、社長は敏感肌ですか?人によっては、つけた時に痒くなったりするらしいですよ。」
「いや俺がつけるわけじゃねーよ!なんで俺もビキニ姿になるんだよ」
そう言われると思った。実際の社長はこう言った。
「お前に喋ってない」
僕は言った
「ごめんなさい」
恥ずかしくて何も言えなくなった。一軒目の会が終わりに近づき、社長達が名刺交換を始める。名刺をいただいたのに返す名刺がなくて困っている僕に対し、女優の一人が言う
「名刺が無いんだったらギャグでお返ししたら?」
「すみません。名刺とギャグを家に忘れてしまいました。」
一瞬変な間が空き、その女優が嫌な笑顔で言う
「え?逃げる普通?芸人失格じゃん」
そう言われただ黙る事しかできなかった。そして僕は、次のカラオケ会場に向かう社長と女優達のタクシーを何台も止めた。僕一人だけがその場に残った。終電もなくなり、タクシーで家に帰るお金もなかった。そして道玄坂の花壇のヘリに座り込み、安い酒を呑んでいる。これが今の僕だ。
「なんだかなー」
独り言とは思えないほどの大声を出している事にも、気付けないくらいイライラしていた。自分を安売りしている、そんな事ではなく、あの場で笑いが一切取れなかった事にだ。
ふと、一人の女性が目に入った。その瞬間イライラしている余裕なんて、何処かに消えて無くなった。自分が何処の誰で、何に悩まされているかなんてどうでも良かった。ただ目の前を歩く人を凝視する事しか出来ない、危機感に似たこの気持ち。初めて車のハンドルを握り、汗を邪魔に思ったあの日のようだった。
僕を釘付けにする彼女は、女性と二人で歩いていた。ツレの女性は白人女性だった。しかし彼女は何処の国の人か判断できなかった。ヨーロッパだと言われれば納得できるし、アジアだと言われても同じだ。彼女は、銀色のベロアのワンピースから見える足や肩、胸元、その全てを全身編みタイツで覆っていた。黒髪のセミロングで特徴的な厚い唇は、僕の血の色よりも赤かった。浅黒い肌に太い眉毛そしてその瞳は、ウイスキーグラスの自慢げなロックアイスのように、丸く透き通り、キラキラと濡れていた。
「何ですか?」
白人女性にそう言われて初めて気がついた。僕は彼女たちの前に立っていたのだ。何を話そうか考えておらず返す言葉に困り、小さな声で言う。
「飲み行かない?」
そんな単純な言葉しか出なかった。
「行かないから」
白人女性がきれいなイントネーションの日本語で不機嫌そうに言う。そこから20分は話したのだろうか。僕は自分が何を話しているのかも分からず。ただ夢中で汗をかきながら話した。
僕達三人はラーメンを食べに行く事になった
ラーメン屋に入ると白人女性は注文するのも忘れて、ずっと自分の失恋話しをしていた。対照的に、彼女は自分の話しを全くしなかった。不機嫌そうに口元を手で隠しずっと黙っていた。
昼間家を出る前は、今日で売れるきっかけを作ってやる、そう鼻息を荒立てていたのに今の僕は、
「絶対にまだ付き合うチャンスあるよ」
そう白人女性を励ましている。こんな歪な空間にいる僕。変な一日だな。そう思い、不機嫌そうな彼女を見て、無気力に頭を回していた。今日の僕は、吐き出された、タバコの煙だな。形も帰る場所も無い嫌われ者。きっと、目の前の女性二人も明日になれば、僕の話など誰にもしないのだ。そう思うと、三人でいるはずなのに僕は一人だと、馬鹿らしくなってきた。
そんなとき、白人女性が今にも泣きそうな声で言う
「私、彼に会ってくる」
残された僕たち。
「閉店時間です。お会計先にお願いします」
ラーメン屋を追い出される。
行くあてもなく、空いている居酒屋を探していた。隣で歩く彼女は不思議な人だった。僕よりも10センチは背が高く、ド派手な格好をしている彼女は、深く帽子を被り、その長い手足を恥ずかしそうに小さく見せて歩いていた。何も話さない彼女が無言のまま地べたに座り込んだ。
「足痛いです」
聞き取りづらい日本語で彼女が言う。彼女の足元を見るとブーツのヒールがとれかかっていた。
「これでずっと歩いてたの?」
僕は驚いて聞いた
「はい、そうです」
キレイな日本語だが、変な日本語で彼女は答える
「ごめん気づかなくて」
「何で謝る事するですか?」
「あなたが痛いと悲しいから」
「あなたも足痛いですか?」
「足は痛く無いよ。……ごめんね」
「わからない」
これが彼女とした初めての会話だった。
そして彼女には僕の靴を履いてもらい、僕は彼女のブーツを手に持ち、裸足で歩いた。十二月の深夜のアスファルトの温度は、僕の奥歯まで冷やすほどだった。
「靴直してあげるよ」
僕は言った。僕は靴磨きが趣味なので、靴に打つ釘と、のりを持っていた。二人で始発電車が動くのを待ち、裸足で彼女と家に帰った。昨日の僕が見たら、羨むような展開にいるこの時の僕が考えていた事といえば、洗濯物を部屋で干さなきゃよかったな。そんな事ばかりを考えていた。玄関のドアを開け、電気をつけようとしていた。そんな僕を彼女が後ろから抱きしめた。長い1秒をそのまま過ごす二人。僕が聞いた。
「どうしたの?」
彼女が言う
「ありがとう」
ありがとう。その言葉の意味は解らなかった。そして、彼女が僕にキスをした。キスというより唇を噛まれた。ギュと噛まれて唇を引っ張られた。
「痛いよ」
僕が言うと彼女は黙って笑い、優しくキスをしながら、僕の服を夢中で脱がせた。まだ名前も知らない人にこんなにも求められるなんて。僕は007のジェイムズボンドになれた気がした。そして、この景色を絶対に忘れる事なく見ておこう、そう思った。僕は玄関で裸にされて、彼女が僕の手を力強く握って胸板にキスをする。僕も彼女を喜ばせたかった。僕を抱きしめる彼女のタイツを脱がして、下着を脱がした。その時、“べちん‘’っという音と痛みが僕の体に走った。僕の下の方にある男のシンボルに何かが当たったのだ。不思議に思い、当たった物を確認する。するとそれは、彼女の男のシンボルだった。
彼女は男だった。
思考が止まった。
さっきまでは、007のジェイムズボンドだった。でも今は、8時だよ!全員集合の加藤茶だ。
気がついたら昼になっていた。隣に彼女が寝ている。彼女の顔をじっと見たそれは、男の顔だった。その彼女の顔が、僕を急に罪を犯してしまったような気持ちと、自分が汚れてしまったような気持ちにさせる。その顔が、僕の胸をチクチク刺した。僕は必死にこの気持ちに理由を探していた。そんな中、安心しきって眠る彼女の顔をまた見て、彼女の髪をなで、同じ問いを繰り返した。どんなに理由を探しても、彼女が悪いという理由だけが見つからなかった。考える度に、「ありがとう」彼女の言葉の響きが、僕の思考から、そっと力を奪った。考えるのを諦め、彼女を寝かしたまま二人分のチャーハンを作る。思考はグチャグチャだったが、チャーハンはパラパラにできた。僕が男の人と同じ布団で優しさを分け合うなんて、何度考えても訳が解らなかった。
彼女が起きてくる。彼女が裸のまま僕に近づく。僕は彼女の裸を見る事ができなかった。見たくなかったから。彼女に僕のパジャマを渡すと、小さくて履けないと笑う。彼女がなんでそんなに、透明な笑顔が出るのかわからない、苦しんでいるのは僕だけなのか?女だと思った人が男だった、裏切られたような、奪われたような、見えない傷口がずっと痛い。自分じゃ出せない答えが欲しくて、助けて欲しくて、僕は、彼女に聞いた
「あなたは?男の子なの?女の子なの?」
彼女が答えた、表情を変えずにそのままの美しさで、
「私はジャスミン、白いお花だよ。」
ジャスミン...僕の耳の奥から時間が止まる音がした。
売れない芸人をしている僕は、この2時間前までは別人のようにおどけていた。
二時間前の貸切の居酒屋。
親睦会という名の集まりに、盛り上げ役として呼ばれた僕は緊張し、何度深呼吸をしても息が上手に吸えなかった。
「売れるきっかけになるから来なよ」
そんなセリフで芸能界の先輩に誘われ、夢見心地で席に着いた。周りにいるのはCMで見たことのある会社の社長や副社長たち。僕以外の男性は皆、光沢のある高級そうなスーツを着こなしている。しかし僕は、fatのパーカーにジーパン姿。5年前に背伸びをして買ったfatのパーカーは、もう定年退職をしたいと、疲れ顔で訴えかけていた。社長たちが使う、横文字とビジネス用語が理解できずに、相槌も打てずに困っていると、そんな僕を尻目に、駆け出しの女優の女の子たちが
「えーー」
とか
「きゃーー」
と言って場を盛り上げていた。
僕も誰かの記憶に残らないと。そんな焦りから、金持ち達が下品に女性を口説くのを、全力ではやしたてた。隣の社長が言う
「二軒目のカラオケに行くひとー?」
女優の女の子のほとんどが手を上げる。それを見た社長がさらに言う。
「じゃあ水着審査しまーす」
僕はそれを聞いて今しかない、そう思い自分が持っている一番おもしろい声で言った。
「水着審査。いいですねー!!ちなみに、社長は敏感肌ですか?人によっては、つけた時に痒くなったりするらしいですよ。」
「いや俺がつけるわけじゃねーよ!なんで俺もビキニ姿になるんだよ」
そう言われると思った。実際の社長はこう言った。
「お前に喋ってない」
僕は言った
「ごめんなさい」
恥ずかしくて何も言えなくなった。一軒目の会が終わりに近づき、社長達が名刺交換を始める。名刺をいただいたのに返す名刺がなくて困っている僕に対し、女優の一人が言う
「名刺が無いんだったらギャグでお返ししたら?」
「すみません。名刺とギャグを家に忘れてしまいました。」
一瞬変な間が空き、その女優が嫌な笑顔で言う
「え?逃げる普通?芸人失格じゃん」
そう言われただ黙る事しかできなかった。そして僕は、次のカラオケ会場に向かう社長と女優達のタクシーを何台も止めた。僕一人だけがその場に残った。終電もなくなり、タクシーで家に帰るお金もなかった。そして道玄坂の花壇のヘリに座り込み、安い酒を呑んでいる。これが今の僕だ。
「なんだかなー」
独り言とは思えないほどの大声を出している事にも、気付けないくらいイライラしていた。自分を安売りしている、そんな事ではなく、あの場で笑いが一切取れなかった事にだ。
ふと、一人の女性が目に入った。その瞬間イライラしている余裕なんて、何処かに消えて無くなった。自分が何処の誰で、何に悩まされているかなんてどうでも良かった。ただ目の前を歩く人を凝視する事しか出来ない、危機感に似たこの気持ち。初めて車のハンドルを握り、汗を邪魔に思ったあの日のようだった。
僕を釘付けにする彼女は、女性と二人で歩いていた。ツレの女性は白人女性だった。しかし彼女は何処の国の人か判断できなかった。ヨーロッパだと言われれば納得できるし、アジアだと言われても同じだ。彼女は、銀色のベロアのワンピースから見える足や肩、胸元、その全てを全身編みタイツで覆っていた。黒髪のセミロングで特徴的な厚い唇は、僕の血の色よりも赤かった。浅黒い肌に太い眉毛そしてその瞳は、ウイスキーグラスの自慢げなロックアイスのように、丸く透き通り、キラキラと濡れていた。
「何ですか?」
白人女性にそう言われて初めて気がついた。僕は彼女たちの前に立っていたのだ。何を話そうか考えておらず返す言葉に困り、小さな声で言う。
「飲み行かない?」
そんな単純な言葉しか出なかった。
「行かないから」
白人女性がきれいなイントネーションの日本語で不機嫌そうに言う。そこから20分は話したのだろうか。僕は自分が何を話しているのかも分からず。ただ夢中で汗をかきながら話した。
僕達三人はラーメンを食べに行く事になった
ラーメン屋に入ると白人女性は注文するのも忘れて、ずっと自分の失恋話しをしていた。対照的に、彼女は自分の話しを全くしなかった。不機嫌そうに口元を手で隠しずっと黙っていた。
昼間家を出る前は、今日で売れるきっかけを作ってやる、そう鼻息を荒立てていたのに今の僕は、
「絶対にまだ付き合うチャンスあるよ」
そう白人女性を励ましている。こんな歪な空間にいる僕。変な一日だな。そう思い、不機嫌そうな彼女を見て、無気力に頭を回していた。今日の僕は、吐き出された、タバコの煙だな。形も帰る場所も無い嫌われ者。きっと、目の前の女性二人も明日になれば、僕の話など誰にもしないのだ。そう思うと、三人でいるはずなのに僕は一人だと、馬鹿らしくなってきた。
そんなとき、白人女性が今にも泣きそうな声で言う
「私、彼に会ってくる」
残された僕たち。
「閉店時間です。お会計先にお願いします」
ラーメン屋を追い出される。
行くあてもなく、空いている居酒屋を探していた。隣で歩く彼女は不思議な人だった。僕よりも10センチは背が高く、ド派手な格好をしている彼女は、深く帽子を被り、その長い手足を恥ずかしそうに小さく見せて歩いていた。何も話さない彼女が無言のまま地べたに座り込んだ。
「足痛いです」
聞き取りづらい日本語で彼女が言う。彼女の足元を見るとブーツのヒールがとれかかっていた。
「これでずっと歩いてたの?」
僕は驚いて聞いた
「はい、そうです」
キレイな日本語だが、変な日本語で彼女は答える
「ごめん気づかなくて」
「何で謝る事するですか?」
「あなたが痛いと悲しいから」
「あなたも足痛いですか?」
「足は痛く無いよ。……ごめんね」
「わからない」
これが彼女とした初めての会話だった。
そして彼女には僕の靴を履いてもらい、僕は彼女のブーツを手に持ち、裸足で歩いた。十二月の深夜のアスファルトの温度は、僕の奥歯まで冷やすほどだった。
「靴直してあげるよ」
僕は言った。僕は靴磨きが趣味なので、靴に打つ釘と、のりを持っていた。二人で始発電車が動くのを待ち、裸足で彼女と家に帰った。昨日の僕が見たら、羨むような展開にいるこの時の僕が考えていた事といえば、洗濯物を部屋で干さなきゃよかったな。そんな事ばかりを考えていた。玄関のドアを開け、電気をつけようとしていた。そんな僕を彼女が後ろから抱きしめた。長い1秒をそのまま過ごす二人。僕が聞いた。
「どうしたの?」
彼女が言う
「ありがとう」
ありがとう。その言葉の意味は解らなかった。そして、彼女が僕にキスをした。キスというより唇を噛まれた。ギュと噛まれて唇を引っ張られた。
「痛いよ」
僕が言うと彼女は黙って笑い、優しくキスをしながら、僕の服を夢中で脱がせた。まだ名前も知らない人にこんなにも求められるなんて。僕は007のジェイムズボンドになれた気がした。そして、この景色を絶対に忘れる事なく見ておこう、そう思った。僕は玄関で裸にされて、彼女が僕の手を力強く握って胸板にキスをする。僕も彼女を喜ばせたかった。僕を抱きしめる彼女のタイツを脱がして、下着を脱がした。その時、“べちん‘’っという音と痛みが僕の体に走った。僕の下の方にある男のシンボルに何かが当たったのだ。不思議に思い、当たった物を確認する。するとそれは、彼女の男のシンボルだった。
彼女は男だった。
思考が止まった。
さっきまでは、007のジェイムズボンドだった。でも今は、8時だよ!全員集合の加藤茶だ。
気がついたら昼になっていた。隣に彼女が寝ている。彼女の顔をじっと見たそれは、男の顔だった。その彼女の顔が、僕を急に罪を犯してしまったような気持ちと、自分が汚れてしまったような気持ちにさせる。その顔が、僕の胸をチクチク刺した。僕は必死にこの気持ちに理由を探していた。そんな中、安心しきって眠る彼女の顔をまた見て、彼女の髪をなで、同じ問いを繰り返した。どんなに理由を探しても、彼女が悪いという理由だけが見つからなかった。考える度に、「ありがとう」彼女の言葉の響きが、僕の思考から、そっと力を奪った。考えるのを諦め、彼女を寝かしたまま二人分のチャーハンを作る。思考はグチャグチャだったが、チャーハンはパラパラにできた。僕が男の人と同じ布団で優しさを分け合うなんて、何度考えても訳が解らなかった。
彼女が起きてくる。彼女が裸のまま僕に近づく。僕は彼女の裸を見る事ができなかった。見たくなかったから。彼女に僕のパジャマを渡すと、小さくて履けないと笑う。彼女がなんでそんなに、透明な笑顔が出るのかわからない、苦しんでいるのは僕だけなのか?女だと思った人が男だった、裏切られたような、奪われたような、見えない傷口がずっと痛い。自分じゃ出せない答えが欲しくて、助けて欲しくて、僕は、彼女に聞いた
「あなたは?男の子なの?女の子なの?」
彼女が答えた、表情を変えずにそのままの美しさで、
「私はジャスミン、白いお花だよ。」
ジャスミン...僕の耳の奥から時間が止まる音がした。
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